市長近況短信 No.14  (6月中旬号)

 《炭焼きとホタル》

 曽屋神社の上に在る[くずはの家]には、ホタルが出ている
そうな…まだ見ていない…見に行く時間がとれない………。
 数年前テレビで、この渓谷に舞うホタルのことが取り上げら
れたら、ド〜ッと見物客が押し寄せて、駐車場が満車で困った
とか、また一部の心無い人がホタルを捕まえて行ってしまった
とか…、多くの皆さんに来ていただくのは嬉しいことなのです
が、なにしろ自然界が相手のことですので…。
 さて、ホタルの名所はくず葉渓谷ばかりではなく、市内にも
数箇所あります。その中でも私にとっては忘れられないホタル
があるのです。

 《頭を空っぽに》

 平成14年1月、初挑戦の市長選に敗れた私に「竹炭焼きを
やっているよ。選挙や政治のことも大切だけど、たまには頭を
空っぽにしてみたら」と声を掛けていただきました。
 「炭焼き」この言葉は私にとって実に懐かしい言葉です。私
の父は復員後炭焼きを生業とし、幼かった私も共に山北の山中
を往復した思い出があるのです。そんなノスタルジアと「頭を
空っぽに」の言葉に誘われるまま蓑毛に登りました。
 土手に造られた炭焼き小屋に集まっている男たちは、何者な
のか判りません。しかし、彼らは、誰が来ても十年の知己の如
く受け入れ、仲間にしてしまうのです。名前も知らず、社会的
立場も関係なく、ただ「ガッチャン」とか「ヨッチャン」とか
呼び合っている不思議な集団でした。
 生来不器用な私は、竹を切ることも割ることもオロオロ、丸
めた針金の中に割った竹を詰め込む作業もモタモタ、役立たず
そのものでしたが、皆から師匠と仰がれるリーダーは「出来る
ことからやればいいんだよ」とばかりに、黙々と作業に精を出
しています。
 夕刻が近づくと一人1000円也の夕食代を出し合って、代
表が街に下り、「本日のお買い得」の食材を買い込み、男の料
理が始まります。食後帰る人、泊まり込んで窯の番人をする人、
それぞれの都合で行動します。炭焼き窯の中の温度管理をして
いると、温度の上昇に伴い、赤い炎が青い炎へと変化していき
ます。周囲には懐かしい匂い、囲炉裏端と同じ匂いが漂ってき
ます。文字通り頭の中を空っぽにして、男の料理に舌鼓を打ち、
酒を酌み交わす。こんな週末を過ごすのが、次へ向かうための
エネルギーになったのです。

 《「お帰り!」ホタル》

 そんな竹炭焼きのおまけがホタル話です。炭焼き小屋の下方
を流れる小川(中丸沢?)の川底に、竹炭の屑を敷きました。
すると、「川の水がきれいになったからか、ホタルの幼虫が餌
にするカワニナが増えているよ。きっとホタルが戻ってくるぞ」
との声。「えっ!本当…」驚きと共に、期待感がワクワク。
なるほど、6月中旬にはホタルの舞を目の前にし、子どもの頃
の懐かしい思い出が頭の中を乱舞しました。
 テレビでホタルが出ると紹介されるやいなや、ド〜ッと見物
客が訪れるのは、皆が「何か」を求めているのではないでしょ
うか?闇を舞うホタルを見て、ある人はその幻想的な様子に魅
了され、又ある人は子どもの頃を思い出し、豊かではなかった
かもしれないが、温もりがあり、家族や近所が肩を寄せ合って
生きた時代を懐かしむものではないでしょうか。都会から、市
内各所から、そんな自然と安らぎを求めてやって来る人々が大
勢いるのは確かです。 

 《故郷「秦野」》

 闇に舞うホタルを追う人たちに、「秦野の自慢はホタルだけ
じゃないよ。まだ沢山誇れる自然と人情がある街です。」と知
らせたいものです。集客力向上と自然保護との共存は、なかな
か難しい問題ですが、皆で智恵と力を出し合っていけば必ず出
来るはずです。私も一生懸命考え、多くの方のご意見に耳を傾
け、市民力と行政力の融合に努めていきます。ぜひ、お力を貸
してください。


焚口をうちわであおぐ
  焚口をうちわであおぐ 「ケムイ〜ケムイ」

山に集まった男達
 山に集まった男達「来も拒まず 帰るも追わず」

男料理と酒!談笑のひととき
     男料理と酒!談笑のひととき

ヘイケホタル
 ヘイケホタル「秦野市教育研究所」資料から転載